規制・規格
JC-STARが調達の条件に変わりはじめた
セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度(JC-STAR)は、IoT製品のセキュリティを機器の単位で評価する制度である。電力分野を先行例として、任意で取得するものだったラベルは、調達で問われる条件へと位置づけを変えつつある。本ページは、外部とつながる機器を納める事業者に向けて、対象の見極めから、機器が要件を満たしたあとに残る仕事までを整理する。
コンプライアンス
情報基準日 2026年10月3日 本文の制度情報は一次資料の記載にもとづく整理です
制度を知る
JC-STARが評価するもの
評価の対象は組織の体制ではなく、機器そのものである。運営を担うのは独立行政法人情報処理推進機構(IPA)で、定められたセキュリティ要件を満たしているかどうかを、製品の型式ごとに確かめる。会社として情報セキュリティの認証を持っていても、納める機器の評価にはならない。逆に、機器がラベルを持っていても、それは会社の管理体制を語らない。
評価の単位
機器(製品の型式)
運営機関
IPA
確かめること
定められたセキュリティ要件への適合
調達の実務では、この二つが別々の書類として届く。取引先の管理体制を問うものと、納入される機器の要件を問うものである。JC-STARが答えるのは後者になる。機器を納める側から見れば、自社の製品そのものが問われる位置に置かれる。
制度を知る
対象となる機器の3条件
対象になるのは、次の3つをすべて満たす製品である。どれか一つでも欠ければ、制度の枠の外に出る。
機器を含むこと
ハードウェアとしての機器を含むこと。ソフトウェアだけの製品は対象にならない。機器に必ず伴うサービスも、単体では外れるが、機器と一式であれば対象になり得る。
IP通信の機能を持つこと
IPネットワークで通信する機能を備えていること。実際にその機能を使う予定がなくても、備えていれば該当する。
インターネットにつながる可能性
直接つながる場合も、他の機器を経由して間接的につながる場合も含む。
PCやスマートフォンのような汎用の情報機器は、3つを満たしていても対象から外れている。想定されているのは、決まった用途を持って現場に据え付けられる機器のほうである。制御装置、監視装置、ゲートウェイ、計測器。納入先の設備の一部になるものが、この制度の主な相手になる。
制度を知る
★1から★4までの段階
適合ラベルは4つの段階に分かれる。★1(レベル1)と★2(レベル2)は事業者自身による自己適合宣言で、★3(レベル3)と★4(レベル4)は第三者による認証となる。段階が上がるほど要件は細かくなり、評価に第三者が入る分だけ手続きも重くなる。
| 段階 | 評価の主体 | 要件の性格 |
|---|---|---|
| ★1 | 自己適合宣言 | すべての対象製品に共通する基礎の要件 |
| ★2 | 自己適合宣言 | 製品類型ごとの特徴を考慮し、★1に要件を追加する段階 |
| ★3 | 第三者認証 | 製品の類型ごとに定められた要件 |
| ★4 | 第三者認証 | 類型別の要件のうち最も高い段階 |
★1の有効期間は交付の日から最大2年で、続けるには更新の申請が要る。取得した時点で終わりではなく、要件を満たした状態を保てているかどうかを、期間ごとに問い直す設計になっている。
対象を見極める
電力分野で取得が求められる機器
以下は、電力分野の系統連系に関する資料で示された取得要求の範囲を整理したものである。JC-STAR制度全体の対象製品を判定する図ではない。対象設備との接続関係を構成図で確認し、個別の適用は一般送配電事業者と納入先に確認する。
図が枠に収まらない場合は、左右にスクロールできます
図が枠に収まらない場合は、左右にスクロールできます
どの領域に当たるかは、製品の仕様書ではなく、自社のネットワーク構成図の上で確かめることになる。
判定チェックリスト
その機器はIP通信の機能を持つか(実際に使う予定がなくても、持っていれば該当する)
その機器は、対象設備の構成機器に直接含まれるか
構成機器に含まれない場合、その機器は対象設備に対する制御の機能を持つか
構成機器に含まれない場合、その機器はゲートウェイ等を介さずに主要な構成製品と通信上接続しているか
3か4に当てはまる場合、原則として対象外に見えても対象となる。ネットワークを論理的に分けていても対象から外れない。
最終的な判断は、属地の一般送配電事業者および納入先への確認による。
先に起きたこと
電力分野で先に起きたこと
制度の位置づけが最初に動いたのは電力分野である。系統につながる設備に納める機器について、★1の取得を求める記述が規程改定案に書き込まれた。任意の取り組みだったラベルが、契約の可否を左右する条件へ性格を変えたことになる。資源エネルギー庁は、一般送配電事業者の系統連系技術要件を2026年度内に改正し、2027年4月以降に順次適用すると案内している。以下は2026年10月3日に確認した公的資料にもとづく。
任意の取得
制度の開始からの前提。取得するかどうかは事業者が決める。
調達要件化の方針
電力分野で、納入される機器への要求として規程改定案に書き込まれる。
契約条件への反映
2027年4月以降、電源種別ごとの時期に順次適用される。契約申込みと対象機器の設置・交換条件を確認する。
適用の時期は電源の種類で分かれている。太陽光発電と蓄電池は、特別高圧と高圧が2027年4月、低圧50kW未満が2027年10月となる。低圧が遅いのは、流通している在庫を踏まえた経過措置による。風力発電は2027年4月で、外部通信との結節点になるゲートウェイのファイアウォール、またはこれと同等の防御機能を持つ機器から先に要件化される。風力は他の電源種よりIP通信を用いる機器が多く、すべてを同時に対応させるには時間がかかると整理されたためである。燃料電池はPCSを用いる形式が対象で、PCSを介して連系するガスエンジンも含む。適用は2028年4月で、必要に応じて経過措置の導入が検討される。
資源エネルギー庁は、2027年3月末までに契約申込みの受付が完了している対象設備や、既設設備で使用中の対象機器について、遡及適用によって直ちに系統接続ができなくなることはないと説明している。一部の対象機器だけを交換する場合、交換しない既設機器にはこの要件は適用されない。
交換時の原則
新要件の下で対象機器を交換する場合は、同一機器への交換でも軽微な変更とはならず、接続検討申込みが必要となる。IP通信機能を持つ機器への交換では、原則として★1取得製品を使う。
過度な負担がある場合
互換性などの問題から他の機器も広範に交換する必要が生じる場合などは、属地の一般送配電事業者に個別に相談する。所定の計画書を提出することを条件に、★1未取得の同類型式製品への交換と当面の使用が認められる場合がある。
計画書には、取得製品への交換が難しい具体的理由と根拠、交換対象をすべて取得製品に切り替える実行予定年などの期限、それまでに行うサイバーセキュリティ対策を記載する。自己判断で例外を適用せず、電源種別の適用時期と個別条件を一般送配電事業者に確認する。
要求の主語は調達側へ移った。ラベルの有無は制度の審査ではなく、日々の商談と見積の場で問われるようになる。同じ動きが自分の分野で起きるかどうかは、納入先の調達仕様に何が書かれるかで決まる。電力は、その最初の一例である。
地図の空白
SCS評価制度との関係
JC-STARはIoT製品を、SCS評価制度は組織のIT基盤を評価する。どちらも、取得しただけで工場全体の安全な運用が完成するわけではない。製品の評価と組織の対策に加え、現場では接続先や利用者の権限、記録の管理を具体化する必要がある。以下の図は、二つの制度と現場で整える運用の関係を当社が整理したものである。
図が枠に収まらない場合は、左右にスクロールできます
図が枠に収まらない場合は、左右にスクロールできます
SCSでは製造環境等のOTシステムを適用範囲に含めない一方、IT基盤との境界を構成する機器は対象となる。JC-STARはシステム全体を評価する制度ではないが、制御システムで使う個々のIoT製品は要件によって対象となる。工場で使う機器が一律に対象外という意味ではない。
地図の空白
★1が対象とする脅威の範囲
★1が求めるのは、機器そのものが備えるべき基礎の要件である。初期設定の保護、利用者の認証と権限、ソフトウェアを更新する手段、通信とインタフェースの保護、攻撃を受ける面を減らすこと、機密情報の保存、利用者のデータを消す手段、安全に設定して使い廃棄するための情報提供。8つの区分に整理された16の項目が中身になる。並べてみると、どれも設計と製造の段階で機器へ作り込める性質を持っている。
★1が引き受ける範囲
- 出荷時の設定の保護
- ソフトウェアを更新する手段
- 通信とインタフェースの保護
- 脆弱性に対応する窓口と体制
機器に載せて出荷できる性質
要件を満たしたあとに残る範囲
- 誰がその機器へ接続するか
- いつ、どの装置へ入ったか
- どの権限で何を許すか
- 接続の事実をどう記録するか
運用の中で日々変わる性質
二つの範囲を分けているのは、機器の出荷時に決まる性質か、運用の中で日々変わる性質かという違いである。初期設定の保護も、更新の仕組みも、出荷までに載せて出せる。しかし来月どの保守員がどの装置に入るかは、出荷の時点では誰にも決められない。調達側が問う形も、この二つを分けたものになっていく。機器の要件はラベルで、運用の統制は納める側の実装と記録で答えることになる。
右側にあるものは、制度の不足ではない。★1は基礎の水準を対象製品の全体へ行き渡らせるための段階であり、想定される脅威をすべて包含する設計にはなっていない。資源エネルギー庁の資料も、太陽光発電や蓄電池に想定される脅威への対策を★1がすべて含むわけではないと整理している。上位の段階と、運用の側で講じる対策が続くことを前提にしている。
★1にも製品の認証やアクセス制御に関する要件がある。そのうえで、実際の保守担当者にどの設備への接続を許し、いつ権限を解除するかは、製品の機能を使って運用側が決める。適合ラベルの取得と、現場ごとのアクセス管理は併せて進める必要がある。
Secomeaの担当
接続を統制するという仕事
その仕事は、外部からの接続を統制するという一語に収まる。中身は3つの側面に分かれる。
誰がいつどの装置へ入ったか
接続の主体と時刻と対象を、装置の単位で特定できる状態を保つ。保守員が替わっても、委託先が増えても、この解像度を落とさない。
権限の分離
装置ごと、作業ごとに入れる範囲を分ける。全員がすべてに入れる構成は、便利さと引き換えに統制を失う。
接続の記録
いつ誰がどこへつないだかを、あとから確かめられる形で残す。調達側からの照会に、記憶ではなく記録で答える。
3つは別々の機能ではない。外部からの接続を一つの経路に束ねるからこそ、主体を特定でき、権限を分けられ、記録が残る。経路が装置ごとに分かれ、委託先ごとに増えていく状態では、どれか一つだけを整えることができない。誰が入ったかを記録しようとしても、記録の取れない経路が別に生きていれば、その記録は全体を語らない。統制は経路の数だけ薄まる。
Secomeaが担うのは接続の経路と権限と記録の統制であり、機器の適合評価と社内規程の整備は運用側の仕事として残る。
Secomeaのリモートアクセスは、現場側のSiteManagerと、クラウド側のSecomea Prime / GateManagerでこの3つの側面を実装する。単位は常に装置であり、拠点でも回線でもない。誰がどの装置へ、どの期間、どの権限で入れるかを一つの管理画面で決め、接続の事実を記録として残す。調達側が問う外部接続の統制を、製品の標準の機能で支援する。
導入の形は、装置1台からでも、既存の保守体制の中へ段階的に組み込む形でも選べる。現場の機器を入れ替える必要はない。いま使っている装置の手前に置いて、経路を束ねる構成が取れる。適合の評価と並行して進められるのは、この仕事が機器の設計とは別の層にあるためである。
- 装置メーカー(OEM):納入先の統制要求に遠隔保守で応える
- 工場:複数拠点の保守接続を一つに束ねる
- 委託先:一時的なアクセスを範囲を限って許す
Secomeaの担当
評価を誰が行うか
JC-STARの適合評価は、段階によって主体が異なる。★1と★2は事業者による自己適合宣言で、★3以上が第三者による認証となる。この違いは制度の設計であり、優劣ではない。そのうえで、制度の現在地と、当社がこれまで受けてきた評価を、混ぜずに並べておく。
制度側の集計
| 取得製品の登録 | 355件 |
|---|---|
| 事業者名の集計 | 145事業者名 |
| 掲載ラベルのレベル | 全件が★1 |
2026年10月1日更新のIPA公表一覧を、10月3日に当社が集計。登録番号の重複を除いた件数と、掲載事業者名の完全一致による集計であり、法人単位の名寄せは行っていない。
当社の第三者評価
IEC 62443-4-1に基づくセキュアな製品開発プロセスについて、TÜV SÜDの認証を取得。IEC 62443-4-2(コンポーネント要件)については、TG alphaの第三者監査により準拠を実証している。
開発プロセスの認証と、コンポーネント要件の監査を区別して確認する。お客様の設備全体を認証するものではない。
2026年10月1日更新のIPA公開リストでは、Secomea名義の掲載は確認できなかった。製品ごとの取得状況は、最新の登録一覧と型番で確認する必要がある。一方で、8,000社以上の採用と100,000ユーザ以上の利用の土台には、製品の要件だけでなく開発の進め方そのものを第三者が確かめてきた経緯がある。ラベルの取得状況と第三者評価の実績は、別の軸として読める状態にしておいたほうが、調達の場では話が早い。どちらか一方で他方を代弁させると、確かめたいことが確かめられなくなる。
今回集計した登録が全件★1であることは、制度の立ち上がりの位置を示している。★3以上の要件は製品の類型ごとに整備が進んでいる段階で、これから分布は変わっていく。当社もこの制度を、機器と調達をつなぐ共通の言葉として重く見ている。機器の側で答えられることと、接続の統制で答えること。これからの調達では、その両方が並んで問われる。
よくある質問
JC-STARとリモートアクセスについて
JC-STARはどんな製品が対象になりますか
機器を含み、IP通信の機能を持ち、インターネットにつながる可能性がある製品が対象です。PCやスマートフォンのような汎用の情報機器と、ソフトウェア単体は対象外です。
★1と★3では何が違いますか
評価の主体が違います。★1は事業者自身による自己適合宣言で、★3は第三者による認証です。★3以上は製品の類型ごとに定められた要件にもとづいて評価されます。
取得は義務ですか
制度としては任意です。ただし電力分野では規程改定案に位置づけられ、実務上は納入先の調達条件に左右されます。
2027年4月より前に契約申込みが完了している設備はどうなりますか
資源エネルギー庁は、2027年3月末までに契約申込みの受付が完了した対象設備や、既設設備で使用中の対象機器が、遡及適用によって直ちに系統接続できなくなることはないと説明しています。対象機器を交換する場合は別途条件を確認してください。
既設の機器を交換する場合はどうなりますか
新要件の下で対象機器を交換する場合は、同一機器への交換でも接続検討申込みが必要です。IP通信機能を持つ機器へ交換する場合は原則として★1取得製品を使います。互換性などによる過度な負担がある場合は、一般送配電事業者への相談と所定の計画書の提出を条件に、未取得の同類型式製品を当面使用できる場合があります。交換しない既設機器には適用されません。
自社の機器が要件の対象になるかはどう判断しますか
本ページの4問は、電力分野で取得が求められる機器を整理するための確認項目です。JC-STAR制度全体の対象製品はIPAの定義で確認し、電力分野での個別の適用は一般送配電事業者と納入先に確認してください。
ネットワークを分離していれば対象外になりますか
電力分野の取得要求では、論理的な分離だけで対象外とは判断できません。対象設備への制御機能や通信上の接続を含め、構成と個別条件を一般送配電事業者と納入先に確認してください。
SCS評価制度とは何が違いますか
SCSは組織のIT基盤、JC-STARはIoT製品を評価します。JC-STARは制御システム全体の評価ではありませんが、そこで使う個々のIoT製品は対象となり得ます。接続権限や記録をどう運用するかも、現場ごとに整える必要があります。
Secomea製品はJC-STAR適合ラベルを取得していますか
2026年10月1日更新のIPA公開リストでは、Secomea名義の掲載は確認できませんでした。製品ごとの最新状況は登録一覧と型番で確認してください。別の評価として、IEC 62443-4-1に基づく製品開発プロセスのTÜV SÜD認証と、IEC 62443-4-2(コンポーネント要件)についてTG alphaの第三者監査による準拠の実証があります。
一次資料
出典・参考
- IPA セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度(JC-STAR) 制度ページ
- IPA 適合ラベル取得製品の公表一覧
- IPA ★1の適合基準と評価手順
- 資源エネルギー庁 電力分野のサイバーセキュリティ
- 資源エネルギー庁 分散型電源のサイバーセキュリティ対策について
- 資源エネルギー庁 よくあるご質問
- 電力広域的運営推進機関 第21回グリッドコード検討会 資料4
- IPA JC-STAR ★1 適合基準・評価手法(1.1版)
- IPA SCS評価制度の制度構築方針
- Secomea IEC 62443-4-1認証書
- Secomea 第三者監査の案内
- Secomea 導入企業数・ユーザ数
制度の評価範囲・評価方式、登録集計、Secomeaの認証・実績は2026年10月3日に再確認。電源種別の適用日程は第21回グリッドコード検討会資料4と照合した。受付済み設備・交換時の原則と例外条件は資源エネルギー庁の制度案内本文と照合した。個別案件の適用は一般送配電事業者への確認を要する。
次に確認したい情報
NEXT STEP
導入に向けて、相談する
対象設備や運用上の課題についてお聞かせください。Secomeaの接続構成・アクセス管理機能・提供可能な製品資料をご案内します。