コンプライアンス · CRA

CRA対応をSecomeaが支援する

EUサイバーレジリエンス法(CRA)が製品メーカーに課すセキュリティ要件。製品クラス分類、適合性評価・CE・SBOM・脆弱性報告・サポート期間、IEC 62443との関係、Secomeaの責任分担まで解説します。

なぜ EU 輸出メーカーに関係するのか

CRA は、製品が 「市場に出られるか」を決める。

EU に製品を出すなら、製造地を問わず適用される。非適合は、EU 市場での販売不可——CE マークが取れないことを意味する。

2024.12
発効
CRA の発効
デジタル要素を持つ製品に、セキュリティ要件を市場投入の条件として導入。
2026.09
報告義務
報告義務の開始
脆弱性・重大インシデントの当局報告が義務化される。
2027.12
本格適用
本格適用
必須要件・適合性評価・CE マーキング・技術文書がすべて要求される。
期限後
ゲートが閉じる
CE が取れない
= 販売不可
適合を示せない製品は、EU 市場に出せなくなる。
= 受注・出荷の可否に直結

論点は「いつか対応」ではない。
「2027年12月までに間に合うか」だ。

発効 ──▶ 報告義務 ──▶ 本格適用 ──▶ CE ゲート

規制の概要

EUサイバーレジリエンス法(CRA)とは

CRA(規則 EU 2024/2847)は、デジタル要素を持つ製品(PDE:Product with Digital Elements)のサイバーセキュリティを市場投入の条件として義務化するEU規則です。ソフトウェアやハードウェア製品、およびその遠隔データ処理ソリューションが対象となります。

CRAはRegulation(規則)のため、NIS2指令(Directive)と異なり、EU各国の国内法転置を待たず直接適用されます。EU市場に製品を「入手可能な状態に置く」ことがトリガーとなります。

対象はEU向けに接続機能を持つ機械・装置を出す日本メーカー(OEM)および EU顧客向け部品供給者です。日本国内のみで完結する製品は直接対象外ですが、EU向け輸出品・EU企業へのサプライチェーン供給があれば適用を検討する必要があります。

CRAが適用されるケース

EU市場に接続機能を持つ製品・機器を出荷・販売する
EU企業へ組み込みコンポーネントや部品を供給する
EU向けソフトウェア製品・ファームウェアを提供する
EU市場でサービスとしてデジタル製品を提供する
EU域内で製品を製造・輸入・流通させる

製造地や企業本社の所在地を問わず、EUに製品を出す限り適用されます。

製品の分類

対象製品と製品クラス(Class I / Class II)

CRAの対象は「デジタル要素を持つ製品(PDE)」です。多くの製品はデフォルトで自己適合宣言(non-critical)が可能ですが、重要性が高い製品はAnnex IIIに列挙された「重要製品」として、Class IまたはClass IIに分類されます。

Annex III 重要製品(第1グループ)
Class I(高重要度コンポーネント)
特徴セキュリティ機能を直接提供・ネットワーク境界上の製品。調和規格に準拠する場合は自己宣言可
主な例VPN製品・ネットワーク管理ツール・SIEM・IDSツール・ブートマネージャ・ルータ・スイッチ・OSコンポーネント
第三者関与
調和規格不使用の場合に必要
Annex III 重要製品(第2グループ)
Class II(最高重要度コンポーネント)
常に第三者評価が必要
特徴最重要インフラ向けセキュリティ機能。いかなる場合も認定機関(notified body)の関与が必要
主な例ファイアウォール製品・IDS/IPS製品・産業用制御システム向けセキュリティコンポーネント
Notified Body
必須(施行規則 2025/2392)

製品クラスの断定に注意:「セキュアリモートアクセス製品=自動的にClass II」等の断定はできません。製品クラスはcore functionality(主要機能:VPN・IAM・ネットワーク管理・ファイアウォールのどれが主たる機能か)と製品単位で判定されます。クラスが上がるほど適合性評価の要件が厳格になります。自社製品の分類については専門家への確認を推奨します。

Secomeaのアプローチ

Secomeaは、OTセキュアリモートアクセスのコンポーネントサプライヤとして、装置メーカーが自社製品のCRA適合を証明するための技術的土台を提供します。

Secomea製品を組み込む装置メーカーは、Secomeaの4-1認証・4-2準拠の証跡を、自社最終製品のCRA技術文書・適合性評価に活用できます。

義務の全体像

CRAが製品メーカーに課す主要義務

CRAはデジタル要素を持つ製品の設計・開発・運用にわたって包括的な義務を課します。主要な義務は次の4分野に整理できます。

適合性評価・CE マーキング・技術文書(Article 32/Annex VIII)

CRAが要求するセキュリティ要件(Annex I)を満たすことを適合性評価で示し、CEマーキングを付してEU適合宣言(DoC)を発行します。これは最終製品のmanufacturer(製造者)の義務です。

  • 非重要製品(non-critical):自己適合宣言が可能
  • Class I(重要製品):調和規格不使用の場合は第三者機関(notified body)の関与が必要
  • Class II(最高重要度):常にnotified bodyによる第三者評価が必要

脆弱性ハンドリング・サポート期間(Article 13)

製品の生涯にわたるセキュリティアップデートと脆弱性対応を義務付けます。

  • サポート期間:原則として製品リリースから最低5年(製品の想定使用期間がそれより短い場合を除く)。OT製品は長寿命のため長期対応が求められる
  • PSIRT体制:脆弱性情報の受付・評価・対応・開示プロセスの整備
  • コーディネーション:サードパーティコンポーネントの脆弱性管理も含む

SBOM(ソフトウェア部品表)の整備(Annex II / VII)

製品に含まれるソフトウェアコンポーネントの一覧(SBOM)を整備します。

  • 義務の内容:技術文書の一部として整備・当局からの要求時に提出できる状態を維持
  • 「全顧客への全面公開」は誤り:統合者・OEMへの情報提供(Annex II)と当局要求時開示が想定される文脈。プロプライエタリ情報の保護は可能
  • Security by default:初期設定でセキュリティが有効な状態で出荷することも義務

脆弱性・重大インシデントの報告義務(Article 14)

2026年9月11日から開始される報告義務。脆弱性の悪用や重大インシデントは、ENISAの単一報告プラットフォームへの報告が義務付けられます。

24h以内
早期警告
積極的に悪用されている脆弱性または重大インシデントを検知した場合の初期通知。
72h以内
インシデント通知
影響を受けた製品・脆弱性の説明・講じた措置の情報を含む詳細通知。
14日以内
脆弱性報告書
脆弱性の詳細・重大度・修正・軽減措置を含む最終報告書(またはインシデント確認後1か月)。
Secomeaのアプローチ

CRAの4つの義務分野において、Secomeaはコンポーネントサプライヤとして以下を提供します:

  • 適合性評価の根拠 — 4-1認証(TÜV)・4-2準拠の第三者監査報告書・技術仕様書の提供
  • 脆弱性ハンドリング — CNA認定による透明な脆弱性管理プロセス・継続的ファームウェアアップデート
  • 報告義務の基盤 — 監査ログ・セッション録画が脆弱性悪用・インシデント検知の証跡として機能

技術的土台

CRA × IEC 62443:最強の土台、ただし「土台だけでは完結しない」

IEC 62443はCRA Annex I(セキュリティ要件)の多くをカバーする最強の技術的土台です。しかし「IEC 62443に準拠すればCRA対応完了」ではありません。

62443がカバーする領域

  • IEC 62443-4-1(セキュアな製品開発ライフサイクル)→ CRA Annex I Part II 脆弱性ハンドリング要件をカバー
  • IEC 62443-4-2(コンポーネント技術セキュリティ要件)→ CRA Annex I Part I の機能セキュリティ要件を広くカバー
  • Secomea 4-1認証(TÜV)・4-2準拠(第三者監査)はCRA技術文書・適合性評価の有力な証拠

62443だけでは完結しないCRA固有義務

  • 報告義務(24h/72h/14日)→ ENISAへの実際の報告実行・体制構築
  • EU適合宣言(DoC)・CEマーキング → 最終製品manufacturerが実施する法的手続き
  • SBOM整備・管理 → 最終製品での統合・更新・開示管理
  • 最低5年サポート期間 → 製品全体としての脆弱性ハンドリング継続

調和規格の整備状況(2026年6月時点):CRAの調和規格(Harmonised Standards)はM/606マンデートのもとで作業中です。EN IEC 62443-4-2 A11:2026の改訂が進んでいますが、2026年6月時点でOJEU(EU官報)掲載済みのCRA調和規格は確認されていません。調和規格が掲載されると適合性推定が発生し、適合性評価の道筋が明確になります。

着地点:「Secomeaは4-1認証・4-2準拠により、装置メーカーのCRA適合で求められる証跡整備を支援します。」これが現時点での正確な表現です。「CRA認証取得」とは言いません。

Secomeaのアプローチ

IEC 62443-4-1認証取得(TÜV)とIEC 62443-4-2の第三者監査による準拠実証は、Secomea製品を組み込む装置メーカーがCRA適合性評価を行う際の最強の土台となります。

Secomeaの支援

CRA義務 ── どこまでが Secomea、どこからが 装置メーカー(製造者)か

CRAの義務主体は最終製品を市場に出す「manufacturer(製造者)」=装置メーカーです。Secomeaはコンポーネントサプライヤとして、装置メーカーが最終製品のCRA義務を果たすための技術的土台を提供します。

「Secomea 導入=CRA 対応完了」ではありません

下表はCRA義務レベルの分界です。CE・EU適合宣言・最終製品の製造者責任は、製品を市場に出す装置メーカーに固定されます。Secomeaはコンポーネント供給者として証跡を連結します。

→ より詳細な線引き(IEC 62443に基づくFR別 責任分担モデル)を見る
CRA 義務
Secomea が担う準拠コンポーネント供給者領域
装置メーカー が担う最終製品 manufacturer 領域
セキュアバイデザイン・脆弱性ハンドリング
4-1認証プロセス・4-2準拠機能・CNA認定によるCVE管理・セキュアな製品開発ライフサイクル
最終製品の脆弱性ハンドリング体制・PSIRT整備・サポート期間(最低5年)運用・コンポーネントEOL管理
技術文書・SBOM
コンポーネントのセキュリティ仕様・構成情報の提供・使用コンポーネントの一覧・脆弱性情報の共有
最終製品の技術文書整備・SBOM統合・当局/統合者/顧客への提供・更新管理
適合性評価・CE・EU適合宣言
(供給者として)準拠の証跡提供・認証書・監査報告書・技術仕様の開示
最終製品の適合性評価・CEマーキング・EU適合宣言(DoC)(装置メーカー固定・委譲不可)
報告義務(脆弱性・インシデント)
製品コンポーネントの脆弱性情報・監査ログ基盤・セッション録画によるインシデント証跡
24h/72h/14日の報告実行・ENISA Single Reporting Platform連携・経営層の判断・対応手順の運用
説明責任の固定:CRAの義務主体はEU市場に製品を出す「manufacturer」=装置メーカーです。最終製品のCE・EU適合宣言・製造者責任は装置メーカーに固定され、コンポーネントの導入では委譲できません。ただし責任は分かれても証跡は連結します(Annex II統合者情報提供+Article 13サポート期間脆弱性ハンドリング)。Secomeaの証跡が装置メーカーの証跡整備を支えます。
Secomeaのアプローチ

責任分界表に示した機能・証跡はSecomea Primeプラットフォームで提供されています。

自社製品のCRA対応で必要な技術的証跡の整備について、具体的な検討を始めるにはお問い合わせください。

CRA 固有の論点

CRA × EU 機械規則:二重対応が必要

EUへ機械・装置を輸出する装置メーカーは、CRAに加えてEU機械規則(規則2023/1230)も考慮する必要があります。「CRAで機械規則のサイバー要件も一本化される」という誤解に注意してください。

EU機械規則 2023/1230

機械・装置の安全性に関するEU規則。2027年1月20日から適用

  • Annex III 1.1.9「Protection against corruption」がサイバーセキュリティ要件を含む
  • 機械の安全機能・制御システムへの不正アクセス・改ざんを防ぐための対策を要求
  • CE マーキングの取得は機械規則との適合も前提

二重対応が必要な理由

CRAと機械規則は互いに排他的ではなく、それぞれ独立したEU法令として両方に適合する必要があります。

  • CRAは製品のサイバーセキュリティに特化した横断的規則
  • 機械規則は機械・装置の総合的な安全性を規定(サイバー要件はその一部)
  • ⚠ 「CRAで機械規則のサイバー要件も一本化される」とは断定できない。両規則を個別に確認・適合すること
Secomeaのアプローチ

EUへ機械・装置を出す装置メーカー(OEM)の皆様に、Secomeaのセキュアアクセスソリューションが両規則対応の技術的基盤を提供します。

機械・装置のCRA・機械規則への二重対応についての詳細は、装置メーカー向けソリューションをご覧ください。

Secomea自身の取り組み

信頼の構築──CRAが前提とするセキュアバイデザインの裏付け

CRAが求める「セキュアバイデザイン」と「脆弱性ハンドリング」を、Secomeaは第三者認証と透明なプロセスで実証しています。世界8,000社以上のOT環境で採用される信頼の根拠です。

IEC 62443-4-1 認証取得(TÜV)

セキュアな製品開発ライフサイクルについて第三者認証を取得。CRA Annex I Part IIの脆弱性ハンドリング要件の根拠となります

IEC 62443-4-2 準拠を実証

コンポーネント(製品)の技術セキュリティ要件について第三者監査により準拠を実証。CRA Annex I Part Iの機能要件をカバー

ISAE 3402認証

内部統制の有効性に関する独立した監査人による証明。組織的なセキュリティガバナンスの裏付け

CVE番号割り当て機関(CNA)認定

デンマーク初・現在も同国唯一のCNA認定OTサプライヤー。脆弱性管理プロセスの透明性を実証し、CRAの報告義務基盤を強化

Secomeaのこれらの認証・取り組みは、Secomeaを採用する装置メーカーが最終製品のCRA適合性評価に用いる技術文書の根拠となります。Secomeaを採用することは、自社製品のCRA証跡整備を大きく前進させます。

Secomeaのアプローチ

Secomeaの4-1認証・4-2準拠・CNA認定は、CRAが求めるセキュアバイデザインと脆弱性ハンドリングの実証済みの証拠です。

よくある質問

Secomea製品はCRA認証を取得していますか?
CRA認証という制度は現時点で存在しません。EUサイバーレジリエンス法(CRA)の適合性推定は、OJEUに掲載された調和規格への準拠によって生じますが、2026年6月時点でCRA調和規格のOJEU掲載は確認されていません。Secomeaはより基盤となる認証として、IEC 62443-4-1の認証取得(TÜV)とIEC 62443-4-2の第三者監査による準拠を実証しており、これがCRA対応のための最強の技術的土台を提供します。
Secomea製品はCRAのClass IIに分類されますか?
製品クラスはデジタル要素を持つ製品(PDE)のcore functionality(主要な機能)と製品単位で判定されます。VPN・ネットワーク管理・ファイアウォール・IDS/IPSなど、機能の組み合わせと位置づけによってクラスが決まるため、「セキュアリモートアクセス製品=自動的にClass II」とは断定できません。Secomeaの製品ラインアップについては、個別のユースケースを踏まえた判定が必要です。詳しくはお問い合わせください。
IEC 62443に準拠していればCRA対応は完了しますか?
いいえ、完了しません。IEC 62443(特に4-1・4-2)はCRA Annex Iの多くのセキュリティ要件をカバーする重要な土台ですが、CRAはそれ以外の義務も課しています。報告義務(脆弱性・重大インシデントの当局への24時間・72時間通知)、EU適合宣言・CEマーキング・技術文書の整備、SBOMの管理、最低5年のサポート期間確保などは、62443だけでは完結しないCRA固有の義務です。Secomeaは「CRA対応の証跡整備を支援する」立場であり、「CRA対応完了を保証する」とは言えません。
CRAは日本のメーカーにも適用されますか?
CRA(規則 EU 2024/2847)はEU規則(Regulation)であり、EU加盟国の国内法転置を待たず直接適用されます。EU市場に製品を「made available(入手可能な状態に置く)」ことがトリガーとなるため、製品の製造地や企業の本社所在地を問わず、EUに製品を出す日本メーカーにも直接及びます。EU向けに接続機能を持つ機械・装置を出す日本メーカー(OEM)やEU顧客向けに部品を供給する企業は、CRAの対象となり得ます。
CRAのサポート期間義務はどのくらいですか?
CRAは製品のサポート期間を原則として最低5年とすることを義務付けています(製品の想定される使用期間がそれより短い場合を除く)。OT製品は長期運用が前提のため、セキュリティアップデートの提供・脆弱性ハンドリング・部品EOL管理が5年以上にわたって求められます。Secomeaはファームウェアの継続的なアップデート提供と、CVE番号割り当て機関(CNA)認定を通じた透明な脆弱性管理プロセスにより、この要件への対応を支援します。
SBOMは全顧客に公開が必要ですか?
CRAにおけるSBOM(ソフトウェア部品表)は、「全顧客への全面公開」を義務付けているわけではありません。技術文書の一部として当局の要求時に提出できること(Annex VII)、統合者・OEMへの情報提供(Annex II)、そして当局の要求に応じた開示が想定されています。ただしSBOMの整備・管理自体はCRA義務であり、必要に応じて開示できる状態を維持することが求められます。

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