OT SECURITY

サイバー事故による操業への影響を抑える接続管理

情報確認日 2026年10月8日

公開日

サイバー事故への備えには、不審な接続を止める手段と、止めた後も現場が安全に対応できる手順が必要です。工場設備などを監視・制御する技術であるOTでは、通信の遮断が保守や監視へ及ぼす影響も確かめておかなければなりません。

海外では、情報システムの障害が製造や出荷に影響した事例がある一方、情報システムへの被害下でも重要な業務を継続した事例が公表されています。接続管理は、こうした事業への影響を考えながら設計する必要があります。

製造や出荷への影響は制御設備の侵害だけで決まらない

医療機器メーカーのBoston Scientificは、2026年8月25日に確認したサイバー事故について、ネットワーク障害が業務アプリケーションへのアクセスに影響し、製造、受注処理、出荷を妨げたと開示しました。9月9日には製造・受注対応・出荷業務の復旧を発表しましたが、一部の顧客では一時的な遅延が続く可能性にも言及しています。[1][2]

その後、9月22日の同社発表では、外部公開されたネットワーク機器を経由して、社内の情報システムの一部へ侵入したとの調査結果が示されました。一方、設備を監視・制御するSCADA環境では、侵害の証拠は見つからなかったとしています。[3]

この経過からは、設備の制御環境で侵害が確認されていなくても、周辺の業務が使えなければ製造や出荷に支障が及び得ることが読み取れます。また、システムや業務の復旧と、滞留した注文や納期への影響の解消は、別に確認する必要があります。これらは公表内容から導く運用上の示唆です。

継続できた事例でも成功の理由は断定しない

南アフリカの水道事業者Rand Waterは、2026年9月3日、一部の情報システムにサイバー事故が発生した一方、水処理、水質管理、広域への給水は正常に継続していると公表しました。[4]

この発表だけで、特定のネットワーク分離方式や防御製品が操業を守ったとは判断できません。確認できるのは、発表時点で重要な業務が継続していたという事実です。

日本の工場に置き換えるなら、生産設備に加えて、作業指示、品質記録、出荷判定、外部からの保守支援など、操業に必要な業務を洗い出す作業が役立ちます。各業務が利用するシステムと通信経路を整理し、一つが停止した場合に継続できる範囲を確かめます。

接続を止める判断者と現場への連絡を決める

米国のサイバーセキュリティ・インフラストラクチャーセキュリティ庁は、2026年8月25日、二つの組織で実施した侵入を模した検証結果を公表しました。一方の組織では初期の侵入を検知し、影響を受けた端末を隔離しました。その後の検証は、侵入済みの状態を意図的に用意して継続されています。実際の事故の記録でも、一連の侵入が途切れずに続いた事例でもありません。[5]

工場の備えとしては、検知後に誰が判断し、誰が接続を止めるかまで定めることが重要です。以下は、外部からの遠隔保守に対象を絞った準備例です。

場面事前に決めること確認する記録
不審な接続の連絡を受けたとき情報システム担当、現場責任者、保守会社への連絡順序利用者、対象設備、接続時刻
接続停止を判断するとき判断者と代理者、停止対象、進行中の作業への対応判断理由、操作担当、停止時刻
外部接続が使えない間現場で継続する作業、保守会社への別の連絡手段設備の状態、保留した作業
再接続するとき安全確認、接続者とPCの確認、再開の承認者再開理由、許可範囲、終了結果

緊急時に止める対象が一つの接続なのか、委託先の全アカウントなのか、拠点全体の外部接続なのかで影響は変わります。現場責任者と情報システム担当が、事故の兆候と設備の状態に応じた判断基準を用意します。

外部接続がなくても対応できる範囲を確かめる

接続を止めた後、遠隔の技術者が設備の状態を見られなくなる場合があります。現場で確認できる情報、電話などで伝える内容、出張対応が必要になる条件を保守会社と共有しておきます。

再接続では、接続元のPCや利用者アカウントの状態を確認し、復旧作業に必要な設備と時間に範囲を絞ります。緊急対応で一時的に増やした権限は、作業後に見直します。現場の安全確認と情報システム側の確認を終えたうえで、責任者が再開を承認する手順にします。

訓練では、机上で担当を確認するだけでなく、安全を確保した検証環境で、対象接続を終了できることと、その後に必要な連絡・記録が揃うことを確かめます。本番設備の切断試験は、操業と安全への影響を評価して計画する必要があります。

Secomeaは遠隔接続の管理を支える

Secomeaには、管理対象の遠隔接続について、利用者と接続先を確認し、必要に応じて接続を終了する機能があります。設備単位のアクセス権限や監査ログと組み合わせて、接続停止と再開の手順を整えられます。利用する機能の契約・設定条件は導入時に確認します。[6]

接続の停止だけで事故対応は完了しません。PCの保護、設備の更新、バックアップ、ネットワークの分離、侵入の検知、設備の復旧は、それぞれの対策と担当者が必要です。Secomeaによる接続管理も、その全体の中に位置付けます。

遠隔保守の導入・見直しでは、通常の接続方法と併せて、異常時に止める対象、停止中の現場対応、再開の承認まで設計することが重要です。

Secomeaの遠隔アクセス機能を見る

出典

本稿は、Secomea本社のOT Security Weekly #003、#004、#005を起点に、一次資料と続報を確認して日本向けに独自に要約・編集したものです。運用手順と表は編集上の提案です。紹介した事件・検証をSecomeaの導入事例として扱うものではありません。情報確認日は2026年10月8日です。

  1. Boston Scientificの米国証券取引委員会への開示 報告基準日2026年9月7日
  2. Boston Scientificの業務復旧に関する発表 2026年9月9日
  3. Boston Scientificの調査結果に関する発表 2026年9月22日
  4. Rand Waterの公式開示文の配信版 2026年9月3日
  5. CISAによる二つの組織での侵入検証報告 2026年8月25日
  6. Secomeaの接続監視・管理機能 公開日の記載は確認できず

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