OT SECURITY
保守委託先の遠隔接続を管理するために工場が決めておくこと
工場設備の遠隔保守では、専門技術者に必要な設備へ接続してもらいながら、工場側が接続の範囲と終了を管理することが大切です。保守契約があるだけでは、担当者の交代や作業終了に合わせて接続権限まで整理されるとは限りません。
工場設備などを監視・制御する技術であるOTの管理では、装置メーカーや保守会社との協力が欠かせません。その協力を続けるためにも、誰に、どの設備への接続を、いつまで認めるかを双方で決めておく必要があります。
海外の助言も委託先との管理分担を重視
米国の連邦捜査局とサイバーセキュリティ・インフラストラクチャーセキュリティ庁は、2026年9月23日、産業制御システムの構築・保守を外部事業者へ委託する重要インフラ事業者に向けた資料を公表しました。作業に必要な最小限の権限、遠隔接続の監視と記録、必要時に事業者側が許可する接続方式などを勧めています。[1]
資料は、委託先が保有するネットワーク図や設備情報の管理にも注意を促しています。接続アカウントに加え、保守のために渡す情報も管理対象です。これは米国の重要インフラ向けの助言であり、日本の全工場に直接適用される義務を示すものではありません。[1]
この考え方を日本の工場の遠隔保守に取り入れるなら、保守契約の窓口と実際の接続者を結び付け、許可の判断を工場側で把握できる運用にすることが出発点になります。以下は、そのための運用案です。
委託先の社名から実際の接続者まで把握する
たとえば包装設備の調整を依頼した際、契約先の装置メーカーではなく、その協力会社の技術者が接続する場合があります。委託先の社名だけを記録していると、実際に作業した人や、その人に認めた範囲を後から追いにくくなります。
接続者は個人単位で識別し、所属先、対象設備、作業目的を対応付けます。協力会社が作業を担当する場合も、接続前に工場側へ知らせる手順を設けます。複数人で一つのアカウントを使い回す運用は見直しの対象です。
| 管理する項目 | 工場側で決める内容 | 装置メーカー・保守会社が伝える内容 |
|---|---|---|
| 接続者 | 利用を認める人と承認者 | 担当者、所属先、担当変更 |
| 接続先 | 対象設備と必要な接続範囲 | 作業に必要な設備と通信方式 |
| 利用時間 | 許可する時間帯と延長の手順 | 開始予定、所要時間、延長理由 |
| 作業の終了 | 接続終了と権限解除の確認方法 | 作業結果、変更点、継続対応の有無 |
設備へ接続するPCの管理も、この分担に含めます。保守会社が管理するPCについては、更新や端末保護の担当、紛失時や感染が疑われる場合の連絡先を取り決めます。工場側で直接管理できない端末でも、利用条件を曖昧にしないことが重要です。
保守の時間に合わせて許可し延長も記録する
特定設備の調整に必要な接続と、工場内の広い範囲へ接続できる権限は分けて考えます。対象設備を限定し、作業予定に合わせて許可する運用なら、保守の目的と権限の対応を確認しやすくなります。
作業が長引くこともあります。予定時刻になったら機械的に切断するルールだけでは、設備の設定変更などを途中で中断するおそれがあります。延長を認める人、現場への連絡方法、切断前に確かめる作業状態まで決めておきます。
夜間の緊急対応では、日中の担当者だけに承認が集中すると保守の開始が遅れます。工場側の代理承認者と保守会社の当番連絡先を用意し、緊急時も接続者と対象設備を記録できるようにします。
接続履歴と作業報告を対応付ける
接続履歴には、利用者、接続先、開始・終了時刻など、システムで取得できる情報を残します。作業目的や変更内容は作業報告で補い、同じ保守依頼としてたどれるようにします。接続記録があることと、設備への操作内容をすべて確認できることは別です。
確認は直近の保守作業を一件選び、依頼、承認、接続履歴、終了報告を照合する方法から始められます。履歴だけでは承認者が分からない、終了報告後も権限が残っている、といった不足を具体的に洗い出せます。
契約終了、担当者の異動、設備の廃止も権限を見直す機会です。委託先からの連絡を受ける担当と、権限を解除する担当を決め、解除した結果まで確認します。
Secomeaで設備ごとの接続と履歴を管理する
Secomeaは、利用者ごとに接続可能な設備を指定し、管理対象の遠隔接続の状況や監査ログを確認する機能を提供します。アクセス申請の承認や接続終了の機能を、工場側の運用手順と組み合わせて利用できます。[2]
導入時には、使用する機能の契約・設定条件を確認したうえで、工場側の管理者と保守側の接続者の権限を設計します。個人の識別を強めるため、複数の認証要素で本人を確認する多要素認証の設定も検討します。[2]
接続管理の仕組みと、作業報告、端末の保護、契約時の取り決めを揃えることで、必要な遠隔保守を利用しながら、工場側が許可と終了を管理する運用を整えられます。
出典
本稿は、Secomea本社のOT Security Weekly #007を起点に、一次資料を確認し、日本の工場向けに独自に要約・編集したものです。表と運用例は日本向けの編集上の提案です。情報確認日は2026年10月8日です。
- FBI・CISAによる第三者の産業制御システム構築事業者との協業に関する助言 2026年9月23日
- Secomeaの接続監視・管理機能 公開日の記載は確認できず
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委託先の接続範囲や承認手順を、設備と保守体制に合わせて整理します。